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【ボディメイクとプロテイン】肉体改造を本気で考える人の筋トレ効果論
筋トレに取組んでいる人でプロテインを利用している人は多いものです。皆さんも1度くらいはプロテインについて耳にしたり、あるいは経験があるという人もいるのではないでしょうか。ジムなどにシェイカーを持参し、トレーニング後に摂取している姿をみることもあります。以前はプロテインといえば「筋トレしている男性が服用する」というイメージも根強かったですが、最近ではプロテインダイエットという減量方法もあって、必ずしもプロテイン=筋トレというものではなくなりました。
健康的にダイエットしたいという女性にも愛用者が多くなり、ダイエットのサポート商品としても注目されています。今回は、筋トレの基本的な知識のひとつとして『プロテイン』をご紹介します。「プロテインとはいったい何なのか」、そして「プロテインを利用することで得られるメリットにはどんなものがあるのか」。プロテインに関心があるものの踏み切れない人にとっても、またすでにプロテインを利用している人にとっても改めて知っていただきたい知識を栄養学・医学・スポーツ科学といった視点からご紹介します。
そもそもプロテインとはいったい何か?
▼プロテイン=タンパク質|からだをつくる構成要素

からだを構成する主な栄養素といえば「炭水化物」、「タンパク質」、「脂質」の3つです。これらは3大栄養素といわれ、生きていく上で欠かすことができない栄養成分です。さらにここに水分、ビタミン・ミネラル類といったものがつづきます。これらの栄養素は食事から摂取するのが基本です。バランスのとれた食事から各栄養素を偏りなくとることが理想の献立とされます。
運動に関していえば、炭水化物や脂質は優れたエネルギー源として、水分、ビタミン・ミネラル類はホルモンバランスや塩分バランスなどを整えることで運動の効率を補助する役割をもちます。運動におけるタンパク質の大きな役割は「からだをつくる」ということになります。筋肉や髪の毛、内臓、皮膚、爪などの主要成分はタンパク質です。タンパク質は英語でプロテイン(Protein)といい、これはギリシャ語のプロティオスという言葉に由来しています。プロティオスとは「一番大切なもの」という意味の言葉。タンパク質は人間のからだにとって欠かせない大事な栄養素であることが、言葉の由来からもよくわかります。
┃プロテインは薬品ではない

プロテインとはタンパク質そのものですが、一般に私たちが「プロテイン」という言葉を使うとき、それはトレーニング関連商品を指します。このとき「プロテインは筋トレの効率を良くする」というイメージだけが一人歩きし、プロテインは筋肉を成長させる特別な摂取物で、薬剤などと類似のイメージをもっている人も少なくありません。いわゆるドーピングなどで問題となるステロイドなどは健康被害などから世界的にも規制が厳しいものですが、プロテインはそういったものではありません。それでもトレーニングのために飲用することに対して不信感や戸惑いを感じてしまう人もいるようです。
ですが、プロテインはそういった特別な薬品などではないのです。そのため、ドラッグストアなどでなくともインターネット、スポーツ専門店、大型のスーパーなどでも気軽に購入することができます。
┃プロテインの正体は「食品」

プロテインは大きな分類としては食品に含まれています。よく食事だけでは不足する栄養素を手軽に摂取するものとして、栄養補助食品とよばれるものがあり、サプリメントなどが代表的です。プロテインも栄養の補助を目的としたものです。プロテインの原料をみてみるとわかりますが、牛乳、大豆などの食品を原料としてつくられます。わかりやすくいえば、加工食品といった位置付けになります。そのため、大手ドラッグストアや薬局などの薬の専門店でなくても購入できるというわけです。
筋トレとタンパク質の深い関係
┃筋肉の成長にはタンパク質が欠かせない

人間のからだの大部分は水分からできているということは周知のとおりです。からだの約70%は水分からできてます。そのため、食べることができない状況よりも脱水や水分の不足のほうが健康被害を受けやすいとされるのはこのためです。水分の次に多いのがタンパク質になります。からだの約20%はタンパク質からできているのです。筋肉に注目すると、水分を除いた成分のうちでタンパク質が占める割合はおよそ80%と考えられています。そのため、筋肉の成長・発達を目指すならばタンパク質の正しい摂取が必要だといわれているのです。
┃タンパク質摂取量の目安=体重1kg×1g〜2g

タンパク質は、「からだをつくる」という以外にも大切なはたらきがあります。からだの機能を正常に保つためのホルモン、体内で行われるさまざまな化学反応に関係する酵素、このようなホルモンや酵素はタンパク質からつくられています。そのためトレーニングをする・しないに関わらず摂取したいタンパク質量の目安というものが定められています。一般の人であれば、タンパク質の1日の摂取量は体重1kgあたり0.6g〜0.7g程度、多くても1g程度が目安とされています。体重60kgの人であれば、多くても1日に60gが摂取量の上限ということになります。
しかし筋トレなどのトレーニングを行う場合には、筋肉の回復などに対してより多くのタンパク質が必要となるので、1日の摂取量は体重1kgあたり1g〜2gくらいは必要量とされますので、体重60kgの人であれば、1日に60g〜120gが摂取量の目安ということになります。ちなみに必要以上にタンパク質を摂取する必要はありません。からだがタンパク質を吸収できる量には限界があり、摂取すればするだけ筋肉が成長するというものではないからです。過剰に摂取しても、吸収できなかった分は排泄されたり、脂肪として貯蓄されることになるので、目安量を守ることが大切です。
┃プロテインが選ばれる理由は摂取効率の高さ

タンパク質はいろいろな食品に含まれていますが、代表格とされる食品群には肉類、魚介類、卵、豆類、乳製品などがあります。まずは各食品群のなかでも代表的な食品のタンパク質量についてみておきます。
■肉類
*牛ひれ肉:19.1g
*牛もも肉:21.2g
*豚ロース:19.3g
*鶏ささみ:23.0g
*鶏もも肉(皮付):16.2g
■魚介類
*まぐろ(赤身):26.4g
*かつお:25.8g
*さば:20.7g
*えび:21.6g
*ほたて:17.9g
■卵
*たまご(生):12.3g
■豆類
*あずき(乾燥):20.3g
*いんげん豆:8.5g
*豆腐(木綿):6.6g
*おから:4.8g
*豆乳:3.6g
■乳製品
*チーズ:22.7g
*ヨーグルト(加糖):4.3g
*牛乳:3.3g
*生クリーム:6.8g
*加糖練乳:7.8g
※表示は全て100gあたりのタンパク質量です。
※各データは文部科学省・食品成分データベースより算出(http://fooddb.mext.go.jp)
ここで、体重60kgの人でトレーニングする場合は、必要なタンパク質量が120gとすると、肉類なら600g程度で一般的なランチプレートに出てくるお肉の4皿分程度です。また豆腐(1パック400gのもの)ならば6パック、ヨーグルト(家庭用の大サイズ400gのもの)でいうなら7個分とかなりの量になってしまいます。またタンパク質だけではなく、なかには脂質なども多くカロリーオーバーとなってしまう可能性もあります。そこでプロテインが選ばれるということになります。一般にプロテインに含まれているタンパク質量は専用の計量スプーン1杯あたり約20gとなります。脂質はほとんど含まれていないものもあり、またカロリーは商品により60〜100kcal前後です。食品だけでは効率良く十分なタンパク質を摂取することが難しい。プロテインが選ばれる理由は「タンパク質摂取効率の高さ」にあるといえます。
プロテインにもいろいろな種類がある
┃プロテインは大きく3つの種類がある

プロテインといっても原材料によってさまざまなものがあります。また健康なからだづくり、筋肉を成長させる、持久力をアップさせるなど用途によっても細かい種類にわけられています。商品によって特徴があるので、自分の目的に合ったプロテインを探すことになります。種類はさまざまですが、プロテインは大きく「ホエイプロテイン」、「大豆プロテイン」、「カゼインプロテイン」の3つにわけられます。
▼ホエイプロテイン|筋肉を発達させる
ホエイというのは日本語で「乳清(にゅうせい)」を意味します。乳清というのは、牛乳から脂肪成分やカゼインという固形の成分を取り除いた液体部分のことをいいます。この乳清にふくまれるタンパク質を主要成分としているのがホエイプロテインです。ホエイプロテインは動物性のタンパク質からできていて、タンパク質や栄養価が豊富であることが大きな特徴となります。消化・吸収に優れたタンパク質であることから、筋肉の成長を目的とするアスリートやボディービルダーの多くが愛用しているのがホエイタイプのプロテインとなります。またホエイプロテインには速やかなタンパク質の吸収が期待されることから疲労回復にも良い効果があるといわれています。また近年の研究によって、ホエイプロテインに含まれる成分が、免疫のはたらきを向上させたり、傷んだ組織の回復を促したり、あるいは腸内環境を良好に維持する機能があるといったことなども報告されるようになりました。
|ホエイプロテインには、αラクトアルブミンやβラクトグロブリンのようなウシの主要タンパク質や、血清タンパク質、ラクトフェリン、一連の免疫グロブリンのような微量成分など、多種多様な成分を含む。これらの成分は、様々な免疫機能を調節する免疫 増強物質であることが実証されている。このようなタンパク質は、プレバイオティック効果、組織修復の促進、腸内環境の維持、病原体の破壊、毒素の除去など、様々な生理活性機能に関与している。|http://usdec.files.cms-plus.com/PDFs/JapaneseSPORTSNUTRITIONcolor.pdf
▼大豆プロテイン|引き締まったからだづくりに
大豆プロテインは、その名のとおり大豆を主成分とするプロテインです。別名「ソイプロテイン」ともよばれています。大豆は豊富にタンパク質を含んでいることから「畑の牛肉」ともいわれます。マラソン系のアスリートなどウエイトコントロールや引き締まったからだづくりを目的としている人に愛用されています。大豆プロテインにはコレステロールの調節、豊富な食物繊維が含まれているため、ダイエット志向の人にもすすめられています。また乳製品などを摂取するとお腹の調子がわるくゴロゴロしてしまう「乳糖不耐症」という体質の人もいますが、そういった人にも安心して使用できるというメリットがあります。
http://ci.nii.ac.jp/naid/110002695427 日本運動生理学雑誌 12・動・植物性タンパク質食餌の差異が長期の走トレーニング後におけるラット骨格筋に及ぼす影響 : 筋タンパク量と等尺性筋張力による検討
▼カゼインプロテイン|日々の健康のために
ホエイプロテインと同じく乳製品から得られるタンパク質です。カゼインは牛乳の約80%を占める主要なタンパク質成分で、一般に摂取されるタンパク質の中心はこのカゼインとなります。固形の成分で、チーズやヨーグルトなどの素材となります。ホエイプロテインに比べると吸収がゆるやかであり、長い時間を必要とするといわれ、トレーニングというよりも健康増進を目的としたタンパク質摂取の補助といったものになります。最近では、トレーニーが使用するプロテインとしては、ホエイプロテインが選ばれる傾向にあります。
こんな人はプロテインを利用しなくてOK
プロテインは筋トレをはじめとするトレーニングの効果や効率を高めるものですが、「絶対的なもの」というわけではありません。あくまで栄養素の吸収を良くすることが目的です。トレーニングする人、アスリートに愛用者が多ことは事実ですが、タンパク質の摂取量などを自分で管理できるのであれば、必ずしも必要というわけではないのです。プロテインを使用しないというケースにはどのようなものがあるのでしょうか。
┃タンパク質が十分に摂取できている

もともとプロテインはタンパク質を補うための補助食品です。普段の食事から十分なタンパク質が摂取できているのではればプロテインはマストなツールではありません。トレーニングに励む人の多くがプロテインを使用するのは、普通の人よりもたくさんのタンパク質が必要であり、普通の食事だけで補うのが難しいからです。食事から十分なタンパク質が摂れている人にとっては必ずしも必要なものではありません。
┃運動の強度が低い時

健康目的でランニングやごく軽い運動に取り組んでいるヒトの場合、タンパク質の必要量は一般の人より特別に多くなるわけではありません。一般の人であれば、タンパク質の1日の摂取量は体重1kgあたり0.6g〜0.7g程度、多くても1g程度が目安とされています。バランスの良い食事であれば、体重×1gのタンパク質を摂取することは、決して難しいことではありません。それならば、プロテインよりも規則正しい食生活を心がけて、日々の食事からタンパク質を補うことも十分可能だといえます。
プロテインを飲むと太る!?
┃プロテインは高カロリーという誤解

プロテインを飲むと太ってしまうと考えている人は意外に少なくありません。これは、ボディービルダーの人たちが愛用しているというイメージが強く、特別な商品だと考えられていることが影響しているようです。しかし、プロテインはただの加工食品であって筋肉を増強させるような薬剤などではありません。特別にからだを変化させるような効果があるということではないのです。トレーニングしたり、ハードな筋トレをする人が愛用するという印象がありカロリーが高いと思われがちですが、プロテインの1食辺りのカロリーは多いもので60kcal〜120kcal前後です。これを他の食品と比べてみましょう。
*プロテイン1食:約60kcal 〜120kcal
*おにぎり1個:約180kcal
*食パン(6枚切り)1枚:約約170kcal
*炭酸飲料などのジュース類500ml:約200kcal
こうしてみると、プロテインは決して太るといわれるほどのカロリーではないことがわかります。ただ、運動をしないのに食事+αとしてプロテインを摂取したり、運動強度が極端に低いのにジュースやおやつがわりにプロテインを摂取すれば全体的にカロリーオーバーとなり、太ることは考えられます。ですがプロテイン=太るということにはなりません。あくまで運動と栄養の摂取バランスを守ることが大切だということです。
まとめ
プロテインはきちんと活用すればトレーニングの強い味方
トレーニングをする人にとって、効果的にプロテインを摂取することはタンパク質の摂取効率からみて優れていることがわかります。筋肉の成長にとって重要なタンパク質ですが、とくにアスリートやトレーニングに取り組む人にとって、必要量のタンパク質を摂取することは意外に難しいものです。食事で摂取しようとなると、タンパク質だけではなく脂質や炭水化物などのバランスも考えなければカロリーオーバーとなってしまうこともあります。そんな食事管理を手軽にし、タンパク質の吸収性に着目したプロテインが愛用されているというわけです。ただ運動の習慣や強度などのバランスから摂取量を考えることが大切です。