モテライフ

【モテる男性講座その6】モテる男性の味覚


モテる男講座と題して、前回まで「視覚」、「聴覚」、「嗅覚」という視点からモテる男性の魅力について掘り下げてきました。今回は、「味覚」にもモテる男性の要素を求めていきます。ズバリ今回は、「味覚と恋愛」がメインテーマです。ここでは、モテる男性の味という視点ではなく、モテる男性として味覚をどう利用していくか、そのきっかけとなる知識ついて学んでいきたいと思います。

恋愛には味覚とも関係する!?


味覚と恋の関係は2つの視点からみることができる

 

これまで、モテる男との条件、あるいは共通点として、「外見・容姿」、「声」、「香り・ニオイ」といったものをみてきまいした。これらは、人間の五感で表現するならば、それぞれ「視覚」、「聴覚」、「嗅覚」という視点からモテる男性の魅力を探求したものということができます。ここまでくれば、次に「味」いわゆる「味覚」にもモテる男性の条件ないし共通点といったものがあるのではないかと考えるのは自然な流れではないでしょうか。

食事に関して「美味しい」、「美味しくない」という嗜好的な判断をするために欠かせない感覚が味覚ですが、さらに「からだに有害なもの」と「無害なもの・からだに良いもの」をフィルタリングする防衛的なはたらきもしているといわれます。ただ味覚のはたらきは、こういった食べるものを判断する「食事」に関わるツールだけでなく、恋愛についていえば、異性と交流するうえでも重要な役割をもっているともいわれています。「味覚と恋愛」。この2つの関係を研究したり、調査したりしている文献は多いとは言い難いですが、やはり取り組みがみられます。そして、その味覚と恋愛の関係をみていくとき、2つの視点から検討していくのがよさそうです。

2つの視点のうち、ひとつは間接的な味覚、そしてもうひとつは直接的な味覚です。間接的な味覚とは、異性と間接的に共有する味覚です。たとえばランチやディナーといった食事があります。そして直接的な味覚とは、直接的に味覚を使って異性を感じる行為。例えば、キスなどはその代表例といえるでしょう。味覚と恋愛をみるとき、この2つの側面からみていくと、恋愛と味覚という2つの連鎖的な関係には注目せずにはいられない「つながり」がみえてきます。今回は、間接的・直接的の2つの味覚という視点からモテる男性の条件や共通点をみていきたいと思います。その前に、まずは味覚というものについて、簡単にみておきます。

 

味覚とそのメカニズム

 

味覚とは、文字どおり味を感じる感覚です。視覚(視ること)、聴覚(聞くこと)、嗅覚(嗅ぐこと)、触覚(触れること、温度や痛みを感じること)と並んで、私たちの五感のひとつに数えられます。ときに、ここに勘(物事を直感的に感じること)をさらなる感覚と数えて第六感とよぶこともあります。私たちは、味を感じるとき、それは主に舌を使って感じています。ただ美味しいものをみたり、美味しそうな「におい」を感じると、唾が出てきたりして「食べる準備」がはじまるので、厳密にいえば、味覚はほかの感覚ともいくらかの関係をもっています。それでも、味覚の主役は舌ということで異論はないでしょう。

舌には味蕾(みらい)という感覚器官(組織の集合体)があって、ここが味を感じるセンサーのはたらきをします。味蕾で感じられた味は、神経を通じて脳でその味が「ある味」として認識されます。

この味というものは、学術的に5つにわけられます。それは、「甘味」、「塩味」「酸味」、「苦味」、「旨味」の5つです。これらは5つの基本味といわれます。この味覚というのは、人によっても感じ方や表現する言葉が違っていることがあります。味覚が敏感な人もいれば、そうでない人もいます。プロの料理人やソムリエのように鋭敏に食べものの味を感じることができないということもあります。いくらか味覚のトレーニングはできるにしても、味覚は感じ方に多様性があるといわれています。近年、その味覚を科学的に分析したり、主観的に感じられる味を客観的にデータ化するという技術も発展してきていますたとえば、私たちは先人たちの試みもあって、経験的に食べものの相性についてある程度知っています。

例えば、一般的に赤ワインやビールは肉料理と相性がよく、白ワインなどは魚料理との相性がよいなどといわれるのがそうです。赤ワインやビールは、苦味の成分がつよく肉料理は甘み・旨味に加えて塩味と酸味が程よく加わっているとされます。赤ワインやビールと肉料理を組み合わせると5つの基本味のバランスがよくなるということです。魚介系の料理(とくに白身魚)は、旨味と塩見が中心で程度もややよわいものです。ここにつよい苦味成分のある赤ワインやビールとあわせると、赤ワインやビールの苦味がつよすぎて、魚介系淡白な味わいを感じにくくなってしまいます。こういったことが、最近では、客観的データとして数値化されるようになり、味覚はより科学的に分析できるようになってきています。ちなみに、このほかにも、例えば辛いという辛味なども普段の生活ではよく使われる言葉ですが、辛味は痛覚に近く、触覚として捉えられていて味より刺激という要素がつよく、5つの基本味には含まれていません。

 


※農畜産業振興機構(https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_001042.html
※日下部裕子:味を受け取る仕組みに関わる分子の同定とその利用による味評価系の開発, 食糧(48), p1~14, 2010(http://www.naro.affrc.go.jp/org/nfri/publications/pdf/sousetsu/kanko_sou48/p001.pdf
※三坂巧:高感度ヒト味覚受容体発現細胞系の樹立と食品の新しい客観的呈味評価への利活用, 三島海雲記念財団研究報告書49号, p7~11, 2012(http://www.mishima-kaiun.or.jp/virtue/docs/02_misaka.pdf

 

 

 

間接的な味覚と恋


味覚の共有は、恋愛のスタート!?

 

先の項目では、味覚というものについて簡単にみてきました。ここからいよいよ本題です。異性との交際のはじまり、あるいはデートのシーンとして、食事はなぜかつきものです。美味しいランチやディナーは男女のデートとして重要なツールと数えられています。あるいはオシャレなカフェ、レストレン、夜景が綺麗なバーなども同じようにデートや男女の記念日といった特別なイベントと深いイメージがつながる傾向があります。この恋愛について、食事という時間は男女が味覚を間接的に共有している時間とも捉えることができます。

リクルートブライダル総研「第1回恋愛観調査(2013)」によれば、恋人がいる男性と恋人が欲しい(けど恋人がいない)男性を比較したとき、その差がもっとも大きかったのは、女性を食事に誘うことができるかどうかだったとされています。食事は恋愛のはじまりにとって、切り離すことができないポイントになるともいえそうです。

 


※リクルートブライダル総研「第1回恋愛観調査(2013)」
http://bridal-souken.net/data/ra/RA01_release.pdf

 

 

食事は相手への思いの度合いを伝える指標

 

一般に恋愛についていえば、食事は相手への配慮を必要とする作業といえます。一概には言えませんが、好意をもった女性を食事に誘うときに、美味しいものを食べることができて、なおかつ雰囲気のよい(デート向き)お店を探すケースが多いのではないでしょうか。また記念日などのイベントで、わざわざ近所の安いお店を選ぶという人は仮にいても多くはないでしょう。

ドイツの経済学者・社会学者であるヴェルナー・ゾンバルトは、「恋愛と贅沢と資本主義(講談社 2000)」という著書のなかで、「非合法的な恋愛の合法的な子供である奢侈(度を過ぎてぜいたくなこと)は、資本主義を生み落とした」と述べています。これは、「恋愛という行為は贅沢を生み出した」と解釈することができます。その「ぜいたくさ」が経済を活発化するととらえる見方もあります。

食事も同じように、対女性というシーンになると、男性は①「自分の食に対するセンス」、②「相手に好意を持たれたい」という大別して2つの思いから食事の場所や内容を考えることが多いものです。

また、食事の場所や内容をあれこれ思考するのは、恋愛=経済活動ととらえるのであれば、「相手に対する思いの度合い」を図る物差しにもなるということがあるでしょう。はじめてデートする女性との食事が、単に近くにある安価で大衆的な定食屋さんか、予約しなければいけないようなミシュランに掲載されるような三ツ星レストランかで相手がどう感じてくれるかは、想像すれば後者が異性へのメッセージをより積極的に含んでいるのがわかりそうなものです。

※ラーメン屋やファーストフードなど気軽な店がいいという女性もいるとは思いますが、これは初デートや記念日といったちょっと特別なイベントを想定してみればというケースを想定してみた場合です。

 


※片瀬一男 :「ライフ・イベントの社会学」 世界思想社 2003
※ヴェルナー・ゾンバルト「恋愛と贅沢と資本主義 講談社 2000

 

 

食でみえてくる相手のバックグラウンド

 

食事には、さらに相手の育ちや素養といったものが意外に多く現れてくることがあります。

 

具体的には、

■食べものの好み

■食べるときの食事マナー

■食事中の相手への配慮(ペースや会話)

 

といったものが、食事を通じて現れる、つまりその人の育ちや素養といったバックグラウンドが色濃くみられる場合があります。食事を通じて、第一印象がよくも・わるくも変わってしまう場合も考えられるのです。また食事の嗜好があまりにも違えば、相手の美味しいと思うものを美味しいと思えず、また自分の美味しいと思うものを相手に理解してもらえません。食事の嗜好の相性が良いと同じものを食べてもその時間が楽しく、また会話もはずむものです。

小説家・開高健が愛した言葉とされるものに「心に通じる道は胃を通る」ということわざがあります。美味しいものは、心を豊かにするという意味が込められているとか。食事は、お互いの気持ちにも深く影響し合う部分が多いことを伝えているのだと思います。一見「?」となりそうな文句でもありますが、よく考えると、なるほど納得できる部分も多いのではないでしょうか。

 


※米澤よう子:「体も心も暮らしも心地よくする美習慣 パリジェンヌ流シンプル食ライフ」文藝春秋 2015
※古市成美・髙田久美子:「食べることの意味と食べ方を問う」鹿児島純心女子短期大学研究紀要第41号, p39~60 2011

 

 

 

直接的な味覚と恋


キスは相手への「好き」を伝える意思表示

 

恋愛と味覚の関係において、直接的に相手の味を確かめる行為の代表に「キス」があります。日本語には「味がある人」とか「味なやつ」といった表現があります。これはいろんな捉え方・受け取り方ができる言い回しですが、褒め言葉として解されていることが多いようです。何かより優れていたり、興味・関心をそそられるものである場合に用いられる表現です。「あなたは味のあることをするね」とか、「味のある表現をするね」といわれると、嬉しい感じがあります。

この言葉からもわかるように、一般的に、好きでもない人とキスをしたいと思う人はいないか、仮にいたとしてもかなり少数ではないでしょうか。よほどの特別な場合を除いて、キスは好意を抱いている人同士の意思表示だと理解されています。そして、このキスという行動は世界の多くの国でみられるものだといわれています。好きという思いをそれとなく相手に示すことというレベルのものから、性行為の準備という段階まで、その程度は時期やタイミング、お互いの引かれ具合などによって、ある程度の差はあるでしょうが、多かれ少なかれ、キスは相手に対して「あなたに好意をもっている」ということをを伝える意思表示だといえます。

全国の20~69歳の個人1万2007人から、初婚までの恋人人数、デート人数、キス人数、性関係人数といったことを調査した成蹊大学大学院文学研究科の調査論文「恋愛経験は結婚の前提条件か : 2015年家族形成とキャリア形成についての全国調査による量的分析」(成蹊人文研究第24号, 2016)によると、「男性はデート人数とキス人数」が、「女性は恋人人数とキス人数が」多いほど、結婚のチャンスがあがったとしています。そして「結婚まえの恋愛経験のうち、とくに恋人とキス」には、「結婚の前提条件と言い切ることまでは難しいけれど、促進要因となっている」ことがわかったと報告しています。

キスは、相手に対する好意を表す効果だけでなく、その後の将来をも左右している力をもつものという秘めたパワーをもっているようです。キスが上手だと恋愛経験が豊富そうにも思えて、それはそれでメリットにもデメリットにもなりえるので、どちらがいいということはいえませんが、キスと恋愛の関係は以外にもつよいことがいえそうです。

 


※小林盾他:恋愛経験は結婚の前提条件か : 2015年家族形成とキャリア形成についての全国調査による量的分析, 成蹊人文研究第24号, 2016(http://repository.seikei.ac.jp/dspace/handle/10928/759

 

 

キスはからだの健康にも関わる!?

 

味覚の中心である口(舌)を使用するキスには、生物学的なメリットがあるという報告もあります。これをみていくと、恋愛においてキスをするというのは、生物がもっている本能的なものとの関わりも示唆されています。キス自体、味覚を使う行動であるので、相手の生活もそれとなく感じることができます。「どんなものを食べているのか」、「タバコを吸うのか」、場合によっては「飲酒するのか」といった情報までも、キスすることで自然と相手に伝わってしまうことがあります。

口臭もそうです。口臭は口のなかのケアの習慣にもよりますが、その人の健康状態にも左右されるものです。胃腸の状態がわるいと口臭もきつくなることがあるといわれています。そしてキスにはこの健康と関連した効果があるといわれています。

キスをすると、口のなかにある数多くの細菌などを交換し合うことになると考えられています。そのため、病原体にさらされるとからだは免疫を高めてつよくなる性質があります。つまり、キスをすると病気に対する免疫力がつよくなるというのです。ここで、これに関する論文とその内容のようやくをいくつかご紹介しておきます。

 

■論文1

Kimata H:Kissing reduces allergic skin wheal responses and plasma neurotrophin levels, Physiol Behav, 2003, Nov80(2-3), p395~395(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14637240

これによると、キスの習慣のないアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎といった人たち、健康な人たちを対象に30分間自由にキスをしてもらい、喘息反応が減少し、アレルギーの反応物質が減少したとしています。ちなみに健康な人では顕著な変化がなかったとしています。

■論文2

Kimata H:Kissing selectively decreases allergen-specific IgE production in atopic patients, J Psychosom Res. 2006 May, 60(5), p545-547(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16650596

ここでは、アトピー患者の抗体(アレルギー物質に対してからだがつくる兵隊のようなもの)に対するキスの影響を研究しています。やはり30分間自由にキスをしてもらい、その結果、抗体(アレルギー物質に対してからだがつくる兵隊のようなもの)が減少しているとしています。アレルギー反応は、アレルギーに対する抗体の過剰な生産が原因といわれています。そのため、キスにはアレルギー症状を緩和することが期待できるとしています。

もちろんキス=健康と決めつけることはできません。それにキスによって、病気に感染しまうことがあることもあります。ですから、キスをした段階で大きな違和感を感じるようであれば、そこまでで止めておくことも必要ともいえるでしょう。しかし、キスは免疫を高める効果がある期待される研究はいくつかあり、なかにはキスが平均寿命を伸ばすとするものもみられます(坂本洋介:キスの科学・キスオロジー キスは寿命を延ばす, 近代文芸社, 2000)

 


※Kimata H:Kissing reduces allergic skin wheal responses and plasma neurotrophin levels, Physiol Behav, 2003, Nov80(2-3), p395~395(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14637240
※Kimata H:Kissing selectively decreases allergen-specific IgE production in atopic patients, J Psychosom Res. 2006 May, 60(5), p545-547(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16650596
※坂本洋介:キスの科学・キスオロジー キスは寿命を延ばす, 近代文芸社, 2000

 

 

キスからわかる間接的なHLAタイプ

 

前回、モテる男性のニオイというテーマで、HLAというものについて触れました(詳しくは「【モテる男性講座その5】モテる男性のニオイとは?」をご参照ください)。これは、動物がもっている血統としての身分証明書のようなものといわれているものです。両親からそれぞれ受け継いだ2つの遺伝子タイプが一対となって1つのセットをつくっていて、自分と自分以外のものを区別する役割をします。そして、HLAは尿や汗、そしてニオイ(体臭)にも影響しているといわれています。フェロモンの運び屋としての役割をもっていることがわかっています。体内でフェロモンとなる匂い物質を包み込んで、汗などに混ざって体外に放出されるといわれます。

 

①『異なるHALタイプの異性との間に生まれたことどもは、HLAのバリエーションが豊かになり、免疫分子の多様性がアップする。』つまり、免疫力をあげて環境につよい子孫が残せる。

②『近親相関を防ぐため』近親相関は、子孫に対して解剖学的・生理学的にさまざまなトラブルを招くことが知られています。その防止策になる。

 

といった学説があり、HLAタイプが差異が大きい(遺伝的に遠い)く、自分とも遺伝的にかけ離れている男性は魅力的に捉えられる期待があるということでした。キスをすると、口が閉じられてしまい、鼻呼吸によって相手のニオイを身近に感じることになります。キスや性行為ほど相手との距離が近くことは日常的に少ないですから、キスには相手を味覚だけでなく、間接的になされる嗅覚をも使って判断している行為という見解もあります。

 

まとめ


味覚とモテる男性の条件とは!?

恋愛において、味覚にはそれとどんな関係があるのかを中心にみてきました。これらを総合してモテる男性と味覚を結論づけるとすれば、

①恋愛の勝負のファーストステップは、食事の段階からはじまっている
②食事には、食べものの好みが現れることを心得る
③食べるときの食事マナー、食事中の相手への配慮(ペースや会話)に注意する
④キスが上手だと恋愛経験が豊富そうにも思えて、それはそれでメリットにもデメリットにもなりえる
⑤男性はデート人数とキス人数が結婚のチャンスをあげるほど影響する
⑥キスは健康のバロメーターにもなり得る
⑦嗅覚を通じた異性選びのツールになり得る

ということでしょう。味覚は恋愛にもつながる感覚ということです。モテる男性は、味覚にあるこうした条件を知り、食事やキスに対して独自の視点をもてるところにあるのではないでしょうか。

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