┃女性ホルモンには2つの種類がある
女性を客観的に理解する(あくまで恋愛というシーンにおいて)ことができるというのが今回のテーマです。
女性ホルモンが女性の心身に影響することはよく知られています。気分にムラがあったり、「体調がイマイチ」というとき、女性ホルモンが原因だといわれるケースは少なくありません。
これまで、モテる男性講座では、「いかに女性を魅了するか」、「どんな男性がモテるのか」、「周囲からみてモテる男性の条件とは何か」などを話題の中心にして、「モテる男性の要素」について探求を試みてきました。
しかし、モテる男として「女性」についてもっと深い洞察が必要です。そうかといって「女性とはいかなる存在なのか」という哲学的な問いを展開しようというのでは途方もなく難しい。そして複雑な問いになることは明らかです。そもそも「女性」という言葉を定義することでさえ難しいのです。
では、女性というものを比較的わかりやすく理解する(あくまで恋愛というシーンにおいて)指標となるものは何か・・・。そのカギと考えられるもののひとつが「女性ホルモン」です。女性に特徴的なホルモンについての研究のなかには、「このホルモンのはたらきによって男性の好みが変わってしまうことがある」と主張する人もいます(詳しくは本文のなかでご紹介します)。
女性ホルモンについて詳しくみていくと種類がいくつもあります。女性ホルモンという言葉自体が曖昧に使われることもあって、その定義は少し漠然としているので先に整理しておきましょう。
一般に女性ホルモンといわれるホルモンは、「エストロゲン」というホルモン、そして「プゲステロン」といわれるホルモンの2つがあります。この2つのホルモンについて知っている男性は、女性に対するアプローチを臨機応変に変えていこうとするはずです。それは、女性ホルモンが女性の行動パターンに密接に関係しているからです。
※参考文献
*厚生労働省資料:知っていますか?男性のからだのこと、女性のからだのこと〜健康で充実した人生のための基礎知識〜(http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=144718&name=2r98520000035kxv_1.pdf)
*石川県・医師科研医師会:女性の健康ハンドブック 守りたい自分の体(http://www.ishikawa.med.or.jp/Female_health.pdf)
*平田雅子(監):不調をなおしてキレイになる 女性ホルモン基本事典, 成美堂出版 , 2010
┃性周期からみる女性ホルモンと女ごころ
前にも触れたように、女性ホルモンには「エストロゲン」と「プゲステロン」という2つのホルモンがあります。これらのホルモンは、恋愛に関わるホルモンとしても注目されています。
女性のホルモンを考えるうえで、女性ホルモンのはたらきは「心」と「身体」という2つの側面を通じてあらわれることを知っておく必要があります。では、ホルモンが「心」と「身体」にどのようにあらわれてくるのか。それを考える前提として知っておきたいのが「性周期」です。性周期は、女性の卵子が男性の精子を受け取るためのメカニズム。繁殖にとって欠かすことのできない機能です。
同時に異性関係を考えるときにも欠かすことができないものです。ホルモンのはたらきによって生じる女性の「心」と「身体」の変化は、この性周期からみていくと、もっとわかりやすくなります。
たとえば「生理」といわれるものも性周期の過程のひとつ。生理中には痛みがあるなど「身体的な悩み」を感じる女性が多いというは周知のとおりです。さらにメンタル面にも深く影響することがわかってきています。生理中の女性は「怒りっぽい」といわれたりします。それだけではなく、「いらいらする」、「集中力がなくなる」、「勉強の成績が下がる」、「何となく不快感を感じる」などといったメンタル面にも関係してきます。
また、「女性の犯罪は生理前に多い」という見解もあり、これは賛否が問われる大きな話題となったこともあります。このように、「性周期と女性のホルモン」そして「女性の心と身体の変化」は、かなり繋がりがつよいとみられています。ここからさらに、性周期とホルモンの関係を「恋愛」というポイントをおさえながらみていきます。
※参考文献
*齋藤千賀子・西脇美春:月経パターンと月経時の不快症状及び対処行動との関係, Yamagata Journal of Health Scienses, Vol8. p53~63, 2005(http://www.yachts.ac.jp/lib/kiyou/ronbun/0806.pdf)
*田中ひかる:月経と犯罪―女性犯罪論の真偽を問う, 批評社, 2006
┃性周期からみる女性ホルモンのはたらき
女性の性周期は、大きく「月経期(生理中)※」、「卵胞期」、「排卵期」、「黄体期」の4つに分かれています。この周期に合わせるように、エストロゲンとプロゲステロンといわれる女性ホルモンのバランスが変化します。それが、女性の「こころ」・「からだ」にさまざまな変化をもたらします。
〔※月経と生理は同じ意味です。医学的には月経という言葉が使われますが、一般には生理という言葉の方が使用頻度として高いものとなっています。〕
性周期は、生理の初日から次の生理の日までの約1か月間(25〜38日が正常な範囲内といわれています)をひとつのサイクルとしています。つまり、健常な女性であれば、生理が毎月定期的にあるということになります。
ここではわかりやすく、1か月を4週として
■生理の週(月経期)
■排卵の週(卵胞期〜排卵期の前半)
■排卵後の週(排卵期の後半〜黄体期の前半)
■次の生理の前の週(黄体期)
とわけてみていきます。
性周期は個人差があり、このようにざっくりと週単位でわけることは、やや乱暴で厳密にいえば正しくありません。しかし、およそ性周期と一致しているといわれています。さらに、性周期を週単位で考えることで「今日生理がきたから来週あたりに排卵期だな」といった具合に、女性の性周期の状態を大まかに知ることができます。
▼生理の週(月経期)
月経がおこる週。わかりやすくいえば、生理中であり、女性の膣(ちつ)内からの出血がおこっている週です。
女性のからだのなかでは「妊娠のための準備」が毎月くり返されています。もしも受精がおこったときに備えて、受精卵が着床しやすい状態になります。子宮内の膜が厚くクッションのようになり、受精卵に栄養を与える準備がスタートします。ですが、妊娠しなかった場合には、それはすべてリセットされます。これが生理です。つまり、受精卵を受けとめる準備をしていた子宮内の膜がはがれ落ち、血液とともに排出されるのが生理です。
生理の週を迎えた女性は、ちょっと神経質になる傾向があるといいます。普段は気遣い抜群の女性も、この時期になると相手に気がまわらなかったりします。また、「生理だから優しくしなきゃ」と男性が気を使うと、逆に女性にとってはストレスに感じてしまうなど、男性の接し方として難しいと感じられる時期でもあります。
▼排卵の週(卵胞期〜排卵期の前半)
生理がおわった次の週あたりから女性ホルモンのひとつ「エストロゲン」の分泌量が増えてきます。エストロゲンは「女性らしさ」をつかさどるホルモンともいわれています。この時期になると、女性の肌の調子は良く、心もスッキリとしているケースが多くなります。エストロゲン増やす・安定させるためのサプリメントや食べもの、関連する書籍・雑誌などが豊富に出版されている理由はここにあります。
肌を例にとってみると、エストロゲンには肌の角層の水分を保ち肌の潤いった状態にする作用があることが知られています。さらに肌の深い場所にあるコラーゲンやエラスチンの合成を促して、肌のハリを保ち、シワやタルミを予防するはたらきなどもあるのです。この時期は女性にとって、まさに絶好調の時期ともいえます。
エストロゲンは生理が終わってから、「排卵日」という時期まで増加します。排卵日を迎える直前の時期になるとエストロゲンの分泌量がピークに達します(ちなみに、排卵は、生理がおこった日を初日として、およそ14日目におこるといわれています)。
男性との関係が性周期のなかでもっとも良好な傾向があります。女性にとっても絶好調の時期ですが、男性にとっても「接しやすい時期」ともいえます。俗説ですが、「排卵日前後には性欲が高まる」とする説などもあるほどです。排卵日前後に性欲が高まるという科学的根拠は乏しいですが、そういった説が生まれるほど、女性の気分は上々であるということでしょう。
▼排卵後の週(排卵期の後半〜黄体期の前半)
排卵の直前を過ぎたあたりからエストロゲンはいったん減少していきます。それに代わるように、今度はもうひとつの女性ホルモン「プロゲステロン」の分泌量が増えてきます。
エストロゲンが、「女性らしさ」をつかさどるホルモンといわれるのに対して、プロゲステロンは「妊娠のため」のホルモンともいわれています。妊娠を手助けするホルモンで、子宮内の膜に受精卵が着床しやすい状態を保つはたらきがあります。
妊娠の維持にとっては欠かすことができないとされるプロゲステロンですが、その一方で、心身にさまざまな不調をおこすホルモンともいわれています。その詳しいメカニズムはわかっていないようですが、生理前に、だるさ、頭痛、熱っぽい、むくみ、おなかや胸が張る、眠気、いらいら感、気分の落ち込み、意欲・集中力の低下、便秘、ニキビ、肌荒れ、といったいろんな症状がみられます。そして生理がはじまると症状が消えていくことを経験する女性も多いようです。こういった「からだの変化」には、排卵後に分泌されるプロゲステロンが原因ではないかといわれています。
▼次の生理の前の週(黄体期)
生理を迎えてから4周目の時期になると、女性にとっては辛い時期となります。性周期のなかで、心身の不調を訴えることが多いといわれる時期。最近では、この心身の不安を「月経前症候群」や「月経前緊張症」、あるいは「PMS」とよぶこともあります。
PMSは、生理前の黄体期といわれる時期におこる不快な症状をひとまとめにした総称(いわゆる症候群)をいいます。一般にこの症候群は、生理のはじまり、もしくは生理の終わりまでには改善されます。この時期の女性は、気分も体調もやや「下降気味」か、あるいは「絶不調」ともいっていい時期です。
「次の生理の前の週(黄体期)」は、接する男性も要注意です。思わぬことから口論になってしまうようなリスクがあります。
このような女性の「こころ」の変動と性周期をまとめたのが、下の図になります。
■生理中の週
■排卵前の週
■排卵後の週
■生理前の週
という大きく4つの時期と、それに対する女性のこころのうごきについての関わりを簡潔にしめしてあります。
※グラフは「ほけんはっけん!|女性のからだと女性ホルモン(http://www.hoken8dogs.jp/column/vol01.html)」および*国立スポーツ科学センター:月経について(http://www.jpnsport.go.jp/jiss/Portals/0/column/woman/seichoki_handobook_4.pdf)を参考にして作成しています。
※無断転用を固く禁じます。
※参考文献
*田上八朗(監):SKIN BEAUTY DICTIONARY 肌図鑑, 日本アムウェイ合同会社(http://d3agasatigaa5a.cloudfront.net/contents/pdf/SkinBeautyDic1208_120814.pdf)
*国立スポーツ科学センター:月経について(http://www.jpnsport.go.jp/jiss/Portals/0/column/woman/seichoki_handobook_4.pdf)
*大川あゆみ・富原一哉:女性の情動関連障害への脆弱性に対する性腺ホルモンの
関与, 鹿児島大学, 地域政策科学研究12, p69~89, 2015
*宮澤洋子・富永国比古・土田 満:青年期女性における月経前症候群(PMS)の実態について, 瀬木学園紀要7,p18~25, 2013(http://ci.nii.ac.jp/els/110009598980.pdf?id=ART0010058552&type=pdf&lang=en&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1486614834&cp=)
*秋元世志枝・富岡佳子・加茂登志子:月経前症候群、月経前不快気分障害の女性の臨床的特徴とストレス・コーピングについて, 跡見学園女子大学文学部紀要 43, p45~60, 2009(http://ci.nii.ac.jp/els/110007343549.pdf?id=ART0009205719&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1486614947&cp=)