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筋トレダイエットは理論で攻める!【基礎編その1|成功者は知っている効率UPの秘策】


筋トレダイエットの効果・効率を高める基本の考え方についてご紹介します。ダイエットといえばウォーキングや水泳、ランニングなどの有酸素運動が一般的な運動ですが、無酸素運動(筋トレ)を取り入れるとダイエット効果がアップします。しかし有酸素運動と無酸素運動はエクササイズとして共通している点もあれば、相反する部分もあります。筋トレダイエットで理想のカラダを効率よく手に入れるには、筋トレダイエットの基本の考え方を知るのが重要です。筋トレダイエットの理論と実践編を3シリーズにわたり解説します。その第1弾として「無酸素運動と有酸素運動の概要」・「プログラムの組み方の基本」・「心拍数を利用した効率UPの方法」についてご紹介します。

ダイエットに筋トレが超効果的な理由は?


有酸素運動=燃焼系|無酸素運動=代謝UP

 

ダイエットに筋トレを利用する理由が推奨される理由は、有酸素運動と無酸素運動の2つの運動タイプの役割が違うからです。

ダイエットに関していえば、有酸素運動は脂肪を燃やすための運動です。それに対して無酸素運動は脂肪を効率よく燃やすために筋肉量を増やすのが目的になります。

 

運動のタイプは有酸素運動と無酸素運動の2つに分けられます。効率よくダイエットしたいと思えば有酸素運動と無酸素運動の特徴を知って、2つとも自分のトレーニング計画に取り入れるのがポイントです。

有酸素運動と無酸素運動は相反するエクサイズですが、2つの運動をうまく組み合わせると、どちらか1つのエクササイズに偏るよりもダイエット効果が高まります。

まずは有酸素運動と無酸素運動の特徴をみてみましょう。

 

 

有酸素運動|Aerobic exercise

有酸素運動はアスリートであれば心肺機能のレベルアップを目的にしますが、ダイエットとなると注目すべきは脂肪を燃やす脂肪・燃焼系のはたらきです。

有酸素運動では運動のエネルギー源に糖分や脂肪を使いますが、そのとき酸素をたくさん使いながら筋肉を動かします。身体が糖分や脂肪を酸素と反応させるときに酸素を使います。酸素を使って長い時間運動ができるので、その分だけ脂肪が燃焼します。

 

有酸素運動は例えばウォーキングや自転車、ランニング、水泳、エアロビクスなどの運動があります。胸・背中・太ももといった大きな筋肉を使って、持続的でリズミカルな運動が有酸素運動です。

 

無酸素運動|Anaerobics

無酸素運動の代表といえば筋トレです。筋トレ器具・マシーンを使って鍛えたい筋肉をストレートに刺激します。無酸素運動は短い時間で大きな力を使う運動です。

無酸素運動は運動のエネルギー源に糖分を使いますが、酸素をあまり使わずにエネルギーを作り出します。その分だけ筋肉に送られる酸素も不足します。

無酸素運動のエクササイズは8秒〜30秒くらいしか持続できません。陸上でいう短距離走が無酸素運動です。

 

無酸素運動は脂肪を燃焼させる運動としては不向きですが、筋肉を刺激して発達させるのに向いています。

脂肪を燃やす効果が有酸素運動より劣るのに、ダイエットに無酸素運動を取り入れるメリットがあるのか気になる人もいるでしょう。

無酸素運動がダイエットに適しているといわれるのは、身体の代謝量を高めるからです。代謝というのは体内でおこる化学変化をいいます。ダイエットとの関わりでは栄養分を分解してエネルギーを使うプロセスが代謝です。

 

無酸素運動の代表例といえば筋トレです。筋トレすると筋肉が発達します。筋肉の代謝量は身体の組織のなかでも代謝量が高く、脂肪と比べると5倍以上です。5倍以上エネルギーを使うというわけです。「筋肉量を増やすと太りにくくなる」といわれるのは、筋肉の代謝量が高いからです。

 

※資料:糸川嘉則ほか「栄養学総論 改定第3版」南江堂, p141~164, 2006をもとに作成しています。

 


参考文献
※厚生労働省「日本人の食事摂取基準 2005年度版」第一出版, p28~38, 2005
※糸川嘉則ほか「栄養学総論 改定第3版」南江堂, p141~164, 2006
※Roberts SB et al「Energy requirements and aging」Public Health Nutr,8, p1028~36, 2005

 

 

 

有酸素運動だけで脂肪を減らすのが大変なワケ

 

ダイエットの基本は筋肉量をキープしながら余分な脂肪を落とすことです。脂肪を燃やすという点にフォーカスすると、有酸素運動が効率的だと考えがちです。

しかし有酸素運動だけで脂肪を落とすのは実はかなり大変です。有酸素運動のエネルギー消費量は高いとはいえません。

 

消費カロリーの計算はいろいろな方法がありますが、「METs(メッツ)」という指標を利用して計算するのが一般的です。METsは「代謝量」という意味です。

METsの使い方は簡単です。METs表とよばれる一覧表があり、一覧表にスポーツや日常生活の動作、簡単なエクササイズなどで一定の値が決められています。日本では国立健康・栄養研究所「改訂版 『身体活動のメッツ(METs)表』」(http://www.nibiohn.go.jp/files/2011mets.pdf)があるので、これを参考にすると便利です。

METsを使って消費カロリーを計算するときには以下の式を使って計算します。

 

『METs × 体重(kg)×時間×1.05=消費カロリー(kcal)』

 

ここでいくつかのエクササイズを例にして、男性(体重60kg)が運動した場合を計算してみます。

 

[1時間の軽いランニング(7.0METs)をした場合]

7.0(mets)×60(kg)×1(時間)×1.05=441(kcal)

 

[30分のヨガ(2.5METs)をした場合]

2.5(mets)×60(kg)×0.5(時間)×1.05=78.75(kcal)

 

[1時間の軽い水泳(5.3METs)をした場合]

5.3(mets)×60(kg)×1(時間)×1.05=333.9(kcal)

 

上記の有酸素運動のなかでランニングは消費カロリーが441(kcal)です。これはコンビニのおにぎり約2個分ほどです。ビールだとレギュラー缶(350ml)で約140~180(kcal)、菓子パンなどは1個400(kcal)以上のものもあります。

こうしてみると有酸素運動の消費カロリーは普段の食事のなかで、すぐに摂取してしまう程度のカロリーだとわかります。

 

 

脂肪1kgが持っているエネルギーは約7200(kcal)です。脂肪1kgをランニングで減らそうと思えば、16時間のランニングが必要です。

実施祭は走った後に食べたり飲んだりするので、必要なランニング時間はもっと長くなります。

有酸素運動で脂肪を燃焼するのはラクではないということです。

 

それでは無酸素運動を取り入れるとダイエット効果はどうなるのでしょうか。実は無酸素運動自体の消費カロリーも高くはありません。

無酸素運動をダイエットのメニューに取り入れる理由は、無酸素運動の消費カロリーではなく、別のメカニズムにあります。次項では無酸素運動が身体に与える効果についてみていきます。

 

 

無酸素運動の刺激がおこす身体変化

 

無酸素運動の筋トレがダイエットで着目されるのは、筋肉が発達して代謝量が高くなるからです。筋トレの消費カロリーが有酸素運動より優れて高いからではありません。消費カロリーだけで考えれば、有酸素運動の方が消費カロリーは高いです。

 

先ほどのMETsの式『METs × 体重(kg)×時間×1.05=消費カロリー(kcal)』を使って筋トレの消費カロリーをみてみます。

筋トレのMETsはボディビルダーがする本格的なトレーニングなら6.0METs、スクワットなどの一般的な筋トレならば5.0METsです。

 

体重60Kgの男性が一般的な筋トレ(5.0METs)を1時間した場合の消費カロリーは315(kcal)になります。1時間の軽いランニングよりも消費カロリーは低いです。

 

しかし筋トレ(無酸素運動)をすると身体にさまざまな変化がおこり、この変化がダイエットの効率を高めてくれます。筋トレのような無酸素運動をすると、筋肉内で乳酸などの疲労物質が蓄積します。

そして筋肉内にある化学物質を感知する受容器(「侵害受容器」とよばれています)が刺激されます。この受容器が筋トレの刺激や疲労物質を受けて、その信号を脳に伝えます。すると脳から「成長ホルモン」というホルモンが分泌されます。

成長ホルモンは、骨や筋肉に作用してその発達を促したり、筋肉の疲労・損傷の回復を促す物質です。

 

さらに筋トレの刺激が脂肪の細胞に作用して、脂肪の分解を促すこともわかっています。筋トレなどの無酸素運動はトレーニング自体の消費カロリーが高いのではなく、トレーニングによって体脂肪が燃えやすい状態をつくる意味でダイエット効率を高めてくれるというわけです。

 

筋トレのダイエット効果は以下の2つにまとめられます。

①筋トレは代謝量の高い筋肉の量を増やす→脂肪が燃えやすい身体になる

②筋トレ刺激が脂肪の細胞を刺激して脂肪の分解が盛んになる

 

ちなみに筋トレの直後から代謝はあがります。筋トレ後に代謝が高くなっている状態は約48時間続くといわれます。筋トレを終えた次の日もカロリーを消費しやすい状態が続いているというわけです。

 

 


参考文献
※一般社団法人京都府医師会「健康パネル2010年11月08日版・生活習慣」
※山本哲史・山崎元「運動処方の最近の考え方」慶應義塾大学スポーツ医学研究センター紀要, p33~39, 1999
※堀内雅弘「筋力トレーニングと血管機能」北海道大学大学院教育学研究紀要 第125号, p63~75, 2016※森谷敏夫「生活習慣病と予備軍に対する 筋力トレーニングを含めた運動療法について」NSCAジャパン第6回総会資料, Volume13, Number8, p56~59, 2006

 

 

 

筋トレダイエットで重要な2つのポイント


ダイエット効果を高める筋トレ法には2つのビッグ・ポイントがある

 

有酸素運動と無酸素運動のそれぞれの運動を2つとも取り入れると、クオリティの高いダイエット効果が期待できます。ダイエットを計画するときに有酸素運動と無酸素運動の取り入れ方に以下の2つのポイントがあります。

1つ目のポイントは有酸素運動と無酸素運動の順番で、2つ目のポイントは有酸素運動と無酸素運動の境界線を知ることです。この2つのポイントをおさえておくと、筋トレダイエットの効果を高められるといわれています。

ここから2つのポイントについてみていきます。

 

 

ポイント1|筋トレ→有酸素運動の順にやる

 

脂肪燃焼を目的に運動のプログラムをつくるとき、有酸素運動と筋トレのどちらを先にやれば効果を高められるか。筋トレダイエットの効果を高められるために、おさえておきたいポイントの1点目は「有酸素運動と筋トレ」の順番です。

結論からいえば先に筋トレをして、脂肪の分解が活性化した状態で有酸素運動することで効果的に体脂肪が燃焼するというのが学術・科学的な見解として有力です。

 

筋トレによる身体の反応のなかに脂肪の分解を促す作用があります。筋トレの前に有酸素運動してしまうと、筋トレによる成長ホルモンの分泌がおさえられてしまいます。

筋トレすると成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンは体内に蓄積した体脂肪を分解されて血中に放出する作用があります。血中に脂肪が放出されるというのは、脂肪が使われやすい状態になっているという意味です。

 

有酸素運動と無酸素運動はどちらを先にやっても、エネルギー消費の総量は同じですが、脂肪の燃焼効率を高めようと思えば、無酸素運動(筋トレ)→有酸素運動の順番でやるのが効率がよいです。

 

無酸素運動ではエネルギーに糖質を利用します。有酸素運動でもスタート時点では糖質をエネルギーとして利用し、20分くらい有酸素運動を続けると糖質が不足するので代わりに脂肪をエネルギーに使います。

有酸素運動も脂肪を燃焼させるには少なくとも20分以上は続けないといけません。それならば先に筋トレ(無酸素運動)をして、身体が「脂肪を燃焼しやすい状態になった後」で有酸素運動をすれば、脂肪の燃焼効率が高まることになります。

 

筋トレ(無酸素運動)によって成長ホルモンが十分に分泌された状態で有酸素運動をするのは、脂肪燃焼を目的にするときに効果的なタイミングといえます。

 

同じ内容の筋トレをしたと場合でも、有酸素運動の前にやるのか・後にやるのかによって、成長ホルモンの分泌が違ってくるというわけです。

 

これらの見解は立命館大学の後藤教授らの研究によって進められたもので、ダイエット・筋トレに関するトピックのなかでは「筋トレ→有酸素運動の順にやる」のが脂肪燃焼を高める意味で効果的な方法として通説になっています。

 

 


参考文献
※後藤一成「ホルモン応答および筋肉の適応に対する代謝ストレスの影響」スポーツ&エクササイズの医学と科学37, 6955~6963, 2005
※後藤一成ほか「高強度および低強度の抵抗運動の組み合わせに対する筋肉の適応」Journal of Strength and Conditioning Research18, 4730-4737, 2004
※後藤一成ほか「若年男性の全身振動に対するホルモンおよび脂肪分解反応」日本生理学55巻, p279~284, 2005
※張間裕子・内藤久士「有酸素トレーニングとレジスタンストレーニングの実施順序の違いが中高年女性の健康に関する体力に及ぼす影響」順天堂スポーツ健康科学研究第1巻第2号(通巻14号),p287~288, 2009
※増永智彬「自重負荷による軽レジスタンス運動と有酸素運動の 実施順序の違いが脂質酸化に及ぼす影響」(http://www.waseda.jp/sports/supoka/research/sotsuron2013/1K10C391.pdf

 

 

ポイント2|効果を高めるAT値

 

運動には脂肪の燃焼効率がよい状態があります。その目安になるのが「ATポイント」といわれる有酸素運動と無酸素運動の境界値です。

 

ATポイントのイメージは有酸素運動と無酸素運動がちょうど入れ替わる分岐点と考えればOKです。ATポイント以下の運動の強さでは有酸素運動になり、ATポイント以上の強さで運動すると無酸素運動になります。

 

 

軽い運動から運動の強さが少しずつ増していくと、あるところで有酸素運動から無酸素運動に切り替わります。有酸素運動・無酸素運動が入れ替わる運動強度のレベルがAT(AT: Anaerobic Threshold)ポイントで、日本語では無酸素性作業閾値といわれます。自分のATポイントは以下の式で簡単に計算できます。

 

『AT ={最大心拍数(220-年齢)-安静時心拍数}× 0.75 +(安静時心拍数)』

※安静時心拍数は1分間あたりの脈拍を測れるのが簡便な方法です。

 

[例:30歳男性で安静時心拍数60の場合のAT]

180 ={最大心拍数(220-30)-60}× 0.75 +(60)

この場合には(脈拍数を測りながら運動したとき)心拍数が180以上になると無酸素運動している状態だということです。逆に心拍数が180以下の状態であれば有酸素運動をしていると判断できます(文献によっては「0.75」ではなく「0.70」とする論文もあるので、安全面を考えると低めに設定するとよいです)。

 

ATポイントは個人の身体レベルによって違ってきます。トレーニングを積んだアスリートだと心肺機能が強化されていて、酸素を取り入れる能力が高いです。そのため強い運動でも酸素不足になりにくくATポイントが高くなります。

 

無酸素運動になるとき運動強度は大きく増加しています。このときATポイントをこえます。身体は酸素ではなく体内に蓄えていた当分を燃焼させることで、不足していたエネルギーを供給します。疲労物質が過剰に蓄積されて筋肉痛や疲労感が発生するので、長時間の無酸素運動はできません。

 

ATポイントを知るのは疲労物質をためないで持久的な運動しようと思う場合に重要視されますが、ダイエットに注目すると自分のATを知るのは、有酸素運動と無酸素運動の境目を把握する意味で重要です。

 

自分のATポイントを知らないままトレーニングすると、有酸素運動しているつもりが無酸素運動になっていたり、逆に筋トレが有酸素運動になっていて効果的な筋トレダイエット効果が得られない場合があるからです。

 

ただしトレーニングを重ねていくと、無酸素領域に到達する前の有酸素領域を広げられます。自分のATポイントが高くなります。

つまり有酸素領域を広げると高いレベルで有酸素運動をできるので、ATポイントを向上させると、有酸素運動による脂肪燃焼の効率をあげられるというわけです。

 

ATポイントを高めるには現在のATに限りなく近い状態で、質の高いトレーニングをする必要があります。1分間あたりの脈拍数が180回をこえないギリギリの強度で運動するのがポイントです。

感覚としては「とてもきつい」という程度が1分間あたりの脈拍数が180回に相当します。

 

エクササイズをしているときに心拍数を測定するツールもたくさんあります。心拍数を測りながら運動するのは、自分のATポイントを確認しながら運動できる意味でも利用価値があります。

 

 


参考文献
※塩野谷明・橋本哲雄「運動負荷漸増に伴う酸素摂取量と心拍数の関係 : AT(無酸素性作業閾値)との関連から」長岡技術科学大学研究報告12, p63~70, 1990
※山崎元「体力の指標-最大酸素摂取量と無酸素生作業閾値-」慶應保健第7巻第1号, p5~16, 1988
※日本体育協会「全身持久力の推定」(http://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data/ikusei/doc/AT/text%20kaitei/AT5_P66-67.pdf
※下井俊典「運動療法学 -持久力増強練習・評価-」国際医療福祉大学保健医療学部理学療法学科・資料(http://shimoi.iuhw.ac.jp/lec_tolerance_2.pdf

 

 

まとめ


筋トレダイエットの基本の考え方について、有酸素運動と無酸素運動の特徴を踏まえてご紹介しました。有酸素運動も無酸素運動も運動なので「カロリー消費」という点では共通しています。しかし脂肪の燃焼効率を高めようと思えば、おさえるべきポイントがあります。筋トレ→有酸素運動の順番をまもり、さらに心拍数を活用して自分のATポイントを高めると、筋トレダイエットの効率がアップします。

続く第2弾では「筋トレダイエットの効果が実感できるまでには、どのくらいの期間が必要か」、筋トレダイエットの成果実現までに必要な期間について解説します。

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