┃ポイント①|バーのもち方|肩幅より広く、順手、サムレスグリップで!
チンニング(懸垂)をするうえで意識したいポイントは以下の3点です。
①バーのもち方
②背中の筋肉(とくに「広背筋」・「僧帽筋」)を使う点を意識する
③全体の動作は「ゆっくり」
チンニング(懸垂)1つ目のポイントは「バーのもち方」です。チンニング(懸垂)するときのバーのもち方」は以下の3点を心がけます。
筋トレはグリップ幅を変えて刺激する筋肉を変えられます。同じ筋トレ種目でもグリップ幅を変化させれば筋トレのバリエーションが増えます。フリーウエイトやマシンでも同じです。
チンニング(懸垂)はバーをもつ両手が肩幅より広くするのが基本。両手を肩幅よりひろくと広背筋を伸ばした状態になります。
筋肉はゴムのようなもの。伸びた筋肉は縮もうとします。ストレッチされた筋肉は収縮の準備が整った状態です。
ターゲットにする筋肉をしっかり伸ばすことで、適切に刺激が入ります。もち幅を広くするのは背中の筋肉を使いやすくするのが狙いです。
次にバーをもつ手の向きは順手にします。順手とは手のひらが自分の方(背中側)を向いた状態で、逆手は手のひらが正面(前方)を向いたもち方のことです。
チンニング(懸垂)はバーのもち手を順手にしたものを「プルアップ」とよび、逆手にしたものは「チンアップ」とよぶ場合もあります。
順手・逆手はどちらが正しいということはありません。ここで順手をすすめるのはターゲットにしている筋肉が背中だからです。
逆手の場合は上腕二頭筋(二の腕)、あるいは三角筋などの肩の筋肉が刺激されます。負荷をダイレクトに背中にかけるのであれば順手にします。
そしてバーのもち方の最後のポイントはサムレスグリップです。サムレスグリップとは親指が開いた状態のことです。
サムレスグリップは握力を使わない点でメリットがあります。サムレスグリップでバーをもつと握力が入りにくくなります。
野球のバットをもつような一般的な握り方をしてしまうと、握力を使ってしまい広背筋や僧帽筋よりも腕の筋肉に負荷がかかってしまいます。
┃ポイント②|肩甲骨を寄せて身体をもち上げる|背中の筋肉が収縮していればOK!
チンニング(懸垂)では背中の筋肉で身体をリフトアップするのがポイントです。肘の屈伸で身体をもち上げようとしてもスムーズにいかず、背筋への負荷も不十分なままです。
動作のコツは左右の肩甲骨を寄せるようにすること。そして「肩を支点」にバーを肘の方向に向けてイメージで身体をリフトアップします。
背中の筋肉がギュッと硬くなっているのを感じられればOKです。広背筋や僧帽筋といったチンニング(懸垂)のメインターゲットとなる筋肉の収縮を意識してください。
┃ポイント③|全体の動作はゆっくり、反動を使わない
チンニング(懸垂)全体の動作はゆっくりが基本です。アップ・ダウンの速度を上げると反動で身体をもち上げてしまいます。
動作に反動を使ってしまうと、背筋への刺激が不十分になったり、肘・肩の関節に負担がかかり痛みが出る場合があるので注意してください。チンニング(懸垂)はもち上げるときに背筋が刺激されますが、身体を下ろすときの動作も重要です。
筋肉が収縮しながら身体が伸びていくことを遠心性収縮(またはネガティブ動作)といいます。遠心性収縮(ネガティブ動作)は筋肉に高強度の刺激が入る収縮パターンです。
筋肉に対する刺激が大きい分だけ筋トレの成果が期待できます。
重力にまかせて降りたり、反動を使って身体をもち上げたりせず「ゆっくり」アップ・ダウンしてください。
※反動や姿勢のブレを防ぐために、チンニング(懸垂)のときは足をクロスしておきます。姿勢がぶれたり、反動が大きくなってしまい、バランスがとりにくく、正しい負荷がかかりません。
また背中が丸まっていると腕の筋肉に力が入ります。背筋を伸ばす点にも注意してください。
参考文献
※志波直人「運動療法の基本と最新の知見」第1回京都リハビリテーション医学研究会学術集会資料, 2015年2月7日
※森友洋・縣信秀・柴田篤・宮津真寿美・河上敬介「再現遠心性収縮による筋損傷モデルの組織学的・機能的回復」日本理学療法学術大会資料, 2011
┃チンニング(懸垂)の実践のまとめ(手順)
チンニング(懸垂)の手順をまとめたのが以下です。
⑴ バーを肩幅より広く握り、バーにぶら下がります。目線はやや上を向き、バーの中央に視点を合わせてください。
⑵ 肩甲骨を寄せるようにし、背中の力で体全体を引き上げます。(息を吐きながら身体をリフトアップします。
⑶ 胸がバーにつく程度までもち上げます(アゴがバーの上にいくまでもち上げてもOK)。
⑷ ゆっくり身体を下ろして、スタートポジションにもどります。
目安:10~15回 × 2〜3セット