┃体系はモテる男性にとって＋αの条件！？
「モテる男性」と一言でいっても、そこにはいろいろな意味が含まれます。いつも女性と楽しくおしゃべりしている人、付き合っていた女性と別れたとしても新しい彼女がすぐにできる人、グループ内でカッコいいと評判がある人などなど。ただ何をもってモテる男性とするのかはちょっと難しいところです。
メディア系の街頭調査や学術的な研究調査など、モテる男性を分析する資料はたくさんあります。そのどれを読んでいても、体系、ルックス、ファッションなど外見的な要素は、項目としてあげあれることはあっても、トップの条件となることはほとんどありません。これは男性が女性をみるときであっても、女性が男性をみるときであっても共通しています。そういった意味でいえば、体系などの外見的な要素は、モテる男性にとって条件のひとつとなることはあっても、必須ではないということです。この体型に関わる研究報告のなかで、「女性から好かれる男性の特徴」に対するイメージの違いを男女間で調べたものがあります。この資料のなかで、男性側からみてモテる男性は「背が高い」と考えている人が意外に多いということが報告されています。身長が高い人は本当にモテる男性になるのでしょうか。次項で身長＝モテ度についてみていきます。
＊山梨大学学術リポジトリ2号9巻（2011）・大学生における自己理想と他者に対する魅力及びやせ志向の実態（http://opac.lib.yamanashi.ac.jp/opac/repository/1/28869/）
┃身長が高いとモテやすいというのは幻想！？
雑誌のモデル、テレビに出てくるイケメン俳優、女性に人気の高いスポーツ選手などの身体スペックをみてみると、身長170cm台後半〜180cm台と確かに身長が高い傾向がわかります。ちなみに日本人の平均身長は、170.7cm（およそ171cm）です。ここからいえば、日本人として身長に対してモテる基準は少なくとも170cm以上は必要だということになります。ただ、最近の研究で身長と異性選びの関係について面白い報告があります。それは医学系論文サイト「バイオメド・セントラル（BioMed Central）」に報告された「Genetic determination of height-mediated mate choice」という論文です。
このかなでは、男女がそれぞれの異性を選ぶときに、遺伝的な要素をみていくと身長との関係がみえてくると報告しています。この論文によると、カップル同士の身長には遺伝子レベルからみて明らかな関連性があるといいます。もともと人がパートナーとなる異性を選ぶときに、遺伝的なはたらきがあるのか、もしくは生活する環境によるものかはたくさんの議論があります。そんななか、この研究が注目されたのは、遺伝子が人間の身長を決定する重要な要素となっていて、しかも自分が好む異性の身長にも影響していることが報告されたからです。「パートナー選びには遺伝的なものがつよく関係している」という説をバックアップする根拠とされています。さらに興味深いのが、「人は自分と同じくらいの身長の異性に惹きつけられる」ということです。
｜We show that genetic variation influences the choice of partner. The genetic correlation between height and the preference for a partner with similar height is 0.89, which indicates that genes affecting individual preferences for height and one’s own height are largely shared. Furthermore, we used this observation to predict the height of the chosen partner from the person’s genotype with an accuracy equal to 64 % of the theoretical maximum. ｜https://genomebiology.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13059-015-0833-8
これに対して反論する意見ももちろんあります。女性と男性の身長は生物学的にみても違っています。日本人女性の平均は157.9cm（およそ158cm）です。男性約の身長が約171cm、女性が約158cmであれば、その差は13cmとなります。これが身長の平均とするならば、確率的にいっても出会う男女間には13cmくらいの身長差は出てくるということです。
ここに「人は自分と同じくらいの身長の異性に惹きつけられる」という研究報告を合わせてみると、身長が高い＝モテるというのは一般に考えられているほどつよい結びつきはないのかもしれません。ようするに出会う女性より、男性の方が13cm程度身長差があれば問題ないということです。
＊Albert Tenesa et al：Genetic determination of height-mediated mate choice（https://genomebiology.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13059-015-0833-8）
┃男らしい筋肉質なからだはモテるか！？
外見的な魅力をアップさせたいという理由で、トレーニングに取り組む人もいるのではないでしょうか。ハリウッド映画などをみると「肉体派」といわれる俳優がたくさんいます。迫力あるアクションシーンを繰り広げる肉体美は憧れてしまうもの。こういった影響があるのかないのか、男性には筋肉質な肉体に憧れる傾向があるといわれています。男性の約40％は「筋肉質なからだ」に興味あるいは関心が高いと報告するものもあります。しかし女性の目線で考えたとき、これは果たしてどうなのでしょうか。
日本で人気の高い俳優、モデル、アイドルなどをみてもハリウッド映画に出てくるような肉体派の人たちは少ないことに気づきます。日本でもボディービルに取り組む人たちは少なくありませんが、アメリカなどに比べるとその勢いはまだよわいです。筋肉質というイメージには、国の文化や価値観も関係があるといわれますから、それをそのまま日本人に合わせることは難しいといえます。とくに最近は少し中性的な（フェミニンチックな）男性が女性の支持を集める傾向があります。強靭なからだは「男らしさ」の象徴といわれますが、これは進化の歴史のなかで育てられた意識のひとつだと考えられています。筋肉質＝強靭なからだ＝繁殖力がつよいという心理的・本能的メカニズムというのが有力視されている学説です。そのため衛生上の問題がある国、感染症などの病気が心配される国などやや過酷な環境がある国では肉体的につよそうな筋肉質な体型が高い評価を受けるということがわかっています。文化や環境などが違えば、男らしい強靭さは女性に対してプラスの効果にはならないといわれています。
日本はそれほど衛生上の問題がある国、感染症などの病気が心配される国などやや過酷な環境がある国ではありません。またイケメンと評される男性芸能人の傾向をみてもわかるように、少し中性的な男性が多いです。ほどよく引き締まった肉体が理想的なのはわかりますが、バリバリのボディビルダーのような体型より、どちからといえば細っそりしたフェミニンな体型の方に女性の軍配が上がるといえます。
＊東京大学大学院教育学研究科紀要第51巻・顔の魅力研究の現在
（http://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/dspace/bitstream/2261/51339/1/edu_51_16.pdf）
